12~15歳の子どもの新型コロナウィルスワクチン接種に対する
Q&A
2021年9月7日
2021年9月14日改訂
静岡県小児科医会予防接種協議
予防接種法にもとづく公費での接種の対象は、接種の日に満12歳以上の方です。このため12歳に満たない方(接種券が送付されていてもまだ12歳の誕生日前)は、新型コロナワクチンの接種の対象にはなりません。現在、ファイザー社および武田/モデルナ社のワクチンは、いずれも12歳以上が接種対象となっています。
接種券、予診票、本人確認書類、お薬手帳(お持ちの方)、母子手帳をお持ちください。
12~15歳の接種においては、原則、保護者の同伴が必要です。15歳以下の接種では、予診票に保護者の署名がなければワクチンの接種は受けられません。
保護者の同伴および予診票への署名 保護者の同伴 予診票への保護者署名 小学生(12歳以上) 必須 必須 中学生 必須 必須 接種日に15歳の方 任意(中学生は除く) 必須 接種日に16~18歳の方 任意 不要 *保護者が同伴しない場合、予診票の「電話番号」には保護者の連絡先を記入して下さい
新型コロナウィルスワクチン接種前後2週間は、他の種類のワクチンを接種することはできません。
同時接種もできません。
誤接種防止のためには、母子手帳への記録保存が大切です。新型コロナウィルスワクチン接種済証(臨時)は、母子手帳と一緒に保存下さい。
接種から翌日までは、発熱やだるさが予想されます。
同じ日に親子で接種を行う場合は、あらかじめ解熱剤を用意するなどこれを見越した準備をお勧めします。
日にちをずらす場合は、保護者の接種を先に行い、2~3日以上開けて子どもの接種をすることをお勧めします。
日本小児科学会は、12歳以上の健康な子どもへの接種は意義があると考えています。(日本小児科学会 新型コロナワクチン~子どもならびに子どもに接する成人への接種に対する考え方~ 2021年9月3日改訂)
静岡県小児科医会予防接種協議会も、健康な12~15歳の小児への接種については、社会的なメリットを考慮して接種を行うことが望ましいと考えています。 (静岡県小児科医会予防接種協議会 静岡県における12~15歳の小児に対する新型コロナワクチン接種方針 2021年8月1日版)
新型コロナワクチンを接種するメリット
- 海外の小児(12~15歳)への接種経験からの情報では、新型コロナワクチン2回接種後、ワクチン接種群で新型コロナウイルス感染症を発症したのは0/1,119人に対し、プラセボ群(ワクチンを接種していない人)では18/1,110人が新型コロナウイルス感染症を発症したという報告があります。この報告から、新型コロナウイルス感染症に対する高い予防効果が期待できます。またワクチン接種後の抗体価は16~25歳にくらべ12~15歳の方が高かったという結果でした。
- 自分自身が免疫を持つことが周囲の人を守ることにつながり、大勢の人がワクチンを受けることにより、流行を抑えることが出来ます。
- こどもの新型コロナは無症状・軽症が多いですが、10 日間の隔離は大きなストレス になります。基礎疾患のある方は、原病の治療も延期になることがあります。ワクチン接種は子どもにおいても日常生活を取り戻すための重要な対策の一つとなり得ます。
新型コロナワクチンを接種するデメリット
- 国内の医療従事者2万人の調査の結果をみると、接種した同日から翌日にかけて、8~9割の人に接種した腕の痛みや重み、5~6割の人に倦怠感や頭痛、2~3割の人に悪寒や筋肉痛、2割程度の人に38℃以上の発熱がみられると報告されています。しかし、いずれの症状もほとんどの場合は2~3日で軽快するようです。まれに、接種直後にアナフィラキシーという重度のアレルギー反応が起こることがあります。そのため、15~30分間、接種会場で様子を見る必要があります。
- ワクチン接種後に、急性心筋炎・心膜炎が国内外で報告されていることについて、心筋炎・心膜炎の専門家は以下のような見解を示しています。
・軽症の心筋炎・心膜炎は治癒する病気であり、仮にワクチン接種後にかかったとしても、循環器の通常の診療体制で対応できる。
・若年者では新型コロナウイルス感染症にかかった場合にも心筋炎になることがあり、新型コロナウイルス感染症にかかった場合には、ワクチンを接種した場合よりも、はるかに高い頻度で心筋炎がみられる。
・こうしたことから、ワクチン接種により感染の重症化予防を図るメリットの方が圧倒的に大きい。
心筋炎や心膜炎の典型的な症状としては、ワクチン接種後4日程度の間に、胸の痛みや息切れが出ることが想定されます。運動する場合は、できれば1週間程度、発熱等の副反応を疑う症状に気をつけながら、指導者の管理のもとに注意して運動することが望ましいです。接種後に胸痛、息切れ、動悸などが認められた場合は、速やかに医療機関を受診することをお勧めします。
一般論として、ウイルスは絶えず変異を起こしていくもので、小さな変異でワクチンの効果がなくなるというわけではありません。
それぞれの変異株に対するワクチンの有効性がどのくらいあるのかについても、確認が進められています。
注射した部分の痛み、疲労、頭痛、筋肉や関節の痛み等がみられることがあります。
まれな頻度でアナフィラキシー(急性のアレルギー反応)が発生します。
厚生労働省 新型コロナワクチンQ&Aワクチンの安全性と副反応より引用
12歳以上の子どもには、mRNAワクチン(ファイザー社とモデルナ)を接種します。
mRNAワクチンにおきましては、1回目のワクチン接種でいくらか免疫がつくことで、2回目の接種の方が、免疫反応が起こりやすくなるため、発熱や倦怠感、関節痛などの症状が出やすくなります。
ワクチンによる発熱は接種後1~2日以内に起こることが多く、水分を十分に摂取し、必要な場合は解熱鎮痛剤を服用するなどして、様子をみていただくことになります。
登校は避けてください。発熱は副反応だけが原因ではない可能性がありますので、接種した医療機関やかかりつけの医療機関などに相談してください。国内の医療関係者を対象にした健康調査の中間報告では、新型コロナワクチン接種後の発熱は、接種後翌日までに起こることが多く、その多くは2日間以内に解熱しました。また、ワクチン接種後の発熱は若年ほど多く、20代では2回目接種後の半数程度にみられるため、12歳以上の子どもへの接種においては学校が休みとなる前日に接種を行うことなどの配慮も必要と考えます。
失神とは、一時的に脳への血流が減少することで意識を失うことを指します。
その原因として最も多いのが血管迷走神経反射によるものです。
緊張や痛みなどのストレスによって、血管迷走神経反射は、新型コロナワクチンに限らず、ワクチン接種時や血液検査の際に生じることがあります。
血管迷走神経反射自体は、横になって休むことなどで治るので、特に健康上大きな問題になることはありませんが、転倒により怪我をしてしまわないよう注意が必要です。
ワクチン接種や採血の時に、血管迷走神経反射が起こり、気分が悪くなったり失神等を起こしたことがある方は、予診の際にその事を伝え、横たわって接種を受けたり、接種後は30分程度様子を見るなどの対策を取りましょう。
食物アレルギー、気管支喘息、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎や花粉症、じんま疹、アレルギー体質などがあるといった理由だけで、接種を受けられないわけではありません。
これまでに、薬や食品など何らかの物質で、アナフィラキシーなどを含む、重いアレルギー反応を起こしたことがある方は、接種直後に調子が悪くなったときに速やかに対応ができるよう、接種後、通常より長く(30分間)、接種会場で待機していただきます。
過去にアレルギー反応やアナフィラキシーを起こしたことがある方は、予診票にご記入いただくとともに、原因の医薬品等やその時の状況をできるだけ詳しく医師にお伝えください。
重いアレルギーで医療機関にかかっている場合には、接種の可否について事前に相談することをお勧めします。
mRNA(メッセンジャーRNA)ワクチンで注射するmRNAは、数分から数日といった時間の経過とともに分解されていきます。
mRNAを注射することで、その情報が長期に残ったり、精子や卵子の遺伝情報(DNA)に取り込まれることはないと考えられています。
新型コロナウイルスワクチンは、ウイルスのタンパク質をつくるもとになる情報の一部を注射することで、ウイルスに対する免疫を作り出しています。
ウイルス自体を体内に投与してはいませんので、接種をすることでPCR検査が陽性になることはありません。